経験学習とは

経験を効果的に活かす学習方法です。

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自らの経験から新たな教訓を導き出し日常で活用する一連のサイクルの学習です。
具体的には

①「具体的な経験」をした後、
②その経験を「省察(内省的な観察)」し、
③そこから「教訓(抽象的な概念化)」を導き出し、
④導き出した教訓を新たな状況で「試してみる(能動的な試み)」

導き出した教訓の良し悪しを判断しながら新たな教訓を身につけていく学習方法です。

経験学習サイクル図

経験学習は経験から導き出した教訓を次の経験に活用します。
私たちの日常で同じようなことが繰り返し起きてしまうのは省察(振り返り)によって導き出した教訓を
活かしていないことが原因です。
もし自分の人生をよりよく変えたいのならば自分が経験したことから学び自分を変えていく必要があります。

しかし私たちは常に自分を正しいと思いたい生き物です。
自分の正しさを守るために自分を振り返る代わりに周囲の人や環境に問題の原因をつくります。
自分が変わらなければ自分が望むような現実を作り出すことはできません。
経験学習とは自分と向き合い自分で自分を変えていく学習です。





経験学習の省察レベル


経験学習の省察(振り返り)にはレベルがあります。
振り返るレベルによって経験学習の省察の深さが決まります。

レベル1:出来事の因果関係
レベル2:行動パターン
レベル3:内面のプロセス
レベル4:メンタルモデル

私たちが認識する出来事は私たちのメンタルモデルの影響を受けています。右図は私たちが出来事を認識する構造を表した図です。日々の出来事はまったく関わりがないように見えてもよく観察してみると同じ行動(行動パターン)を繰り返していることが見つかります。さらにその行動パターンを繰り返させる構造(内面のプロセス)があります。この内面のプロセスを認識することをメタ認知といいます。さらにその内面のプロセスは自分のメンタルモデルによって自動的に起きています。


氷山モデル

起こる出来事を自分の思い通りにしたいのならば自分が作り出している現実に影響を与えている
メンタルモデルに気づく必要があります。
そして新たなメンタルモデルを獲得するための行動を起こす必要があります。
しかし長い年月をかけて獲得したメンタルモデルは簡単に変えることはできません。
繰り返し経験学習を行い少しづつ自分を変えていく必要があります。

経験学習ではより深いメンタルモデルまで省察することが理想ですが、自分の行動パターンに気づき行動を
改めることでも十分効果があります。
トヨタは「なぜ」を5回繰り返し物事を深く考えることを行っていますがこれはメンタルモデルに
気づかせるために行っています。
しかし一般的には行動面での振り返りはできてもメンタルモデルまで深く振り返ることは簡単ではありません。

内面のプロセス | 外部の刺激によって引き起こる内面の一連の動き
メンタルモデル | 人が世界をみるときの意識・無意識の前提(思い込み、価値観など)
メタ認知    | 自分の思考や行動そのものを対象として客観的に把握し認識すること





経験学習の効果

多くの効果が実感できます。

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自分に自信がつき行動力が増す

経験学習をすると自分の目的を考えるようになります。
すると目的に向かう行動も考えるため自分のとるべき行動が明確になります。
行動が明確になると躊躇が減り少しづつ行動できるようになります。
自分で考えたことが現実になっていく経験は自信となり、さらに行動することができるようになります。

経験学習には失敗したら終わりという考えはありません。
仮に自分が想定した未来にならなくてもその経験から自分自身を見つめ修正しつづければいいのです。
うまくいかなかったら次にどうすればうまくいくかを考えて行動すればよりよい結果につながります。
繰り返し仲間と経験学習を続けていくことでどんどん自分に自信がついていきます。

くよくよすることが減る

経験学習を続けると失敗に対してくよくよすることが減ってきます。
もちろん失敗をすれば落ち込みますが、その経験をしっかり振り返り自分なりによりよくするための行動を
見つけられると気持ちが前に向きます。

過去を悔やんだり周囲のせいにすると自分で変えられないためにいつまでも悩みが続きます。
しかし経験学習は経験を振り返り自分のメンタルモデルを知り、未来に向けて今何をするかを考えます。
そのため振り返りで一旦過去にけりをつけ、これからどうしようと考えるようになります。
このような考え方の習慣がつくとあまり過去にとらわれることなく気持ちが前に向き、くよくよと悩むことが減ります。

成長している実感が湧く

経験学習を続けていると少しづつ自分の感じ方や考え方、行動が変わっていきます。
自分がよりよくなるために意識して行動するので何気なく行動していれば気づけない変化も
経験学習をすると気づきやすくなります。

自分の変化に気づきやすくなるとちょっとした自分の成長も感じられるため、
よりよくなっている実感が得られます。
しかし自分を省みる機会が少ない人は他者からの承認がなければ自分の成長を感じません。
家庭や職場では承認や評価を得る機会はあまり多くないため成長している実感があまり得られません。
経験学習をすることで自分を省み、成長している実感が沸くと充実感を得られます。

周囲との人間関係がよくなる

経験学習をすると人間関係がよくなります。経験として残る記憶の多くは他者が介在しています。
記憶は他者とのやり取りの中でマイナス感情が沸き起こった経験が強く残ります。
例えば、上司に怒られた経験や恋人と喧嘩した経験などはなかなか頭から離れません。

他者との関係が良くない場合、私たちは相手の態度や考え方に問題があると考えがちです。
しかし経験学習では自分のどのようなメンタルモデルがそのような関係を作っているのかを探求するため
すべてが自分の問題になります。
なぜマイナス感情が起きたのかに気づくとよりよくなるための行動につながります。
自分が変わると相手の態度や言葉遣いまで変わってくるため今まで違った良好な関係になれます。

感情的になることが少なくなる

経験学習をするとちょっとしたことに反応をおこすことが少なくなります。
経験学習では自分の内側で起こる内面のプロセスを振り返るために自分の感情の動きに敏感になります。
ちょっとしたことに反応をおこしてしまう要因の一つに自分の感情の状態に気づいていないことがあります。
例えば長期間にわたり怒りの感情に飲み込まれている時は自分の状態に気づけていません。
冷静なもう一人の自分が心の奥底で怒っている自分を客観視する必要があります。
自分は怒っていると気づけば感情の反応をコントロールすることができます。

また怒りの感情を引き起こしたメンタルモデルに気づくことで反応を弱くそして継続時間を短くすることができます。
自分になぜ怒りの感情が起きたのかがわかると、心穏やかでいるために自分のメンタルモデルを
どのように変えればいいのか、何をすればいいのかを考え、対応することが可能になります。