アサーティブなコミュニケーション方法
いい人間関係を持てない理由ついて
5回にわたり、お伝えしてきました。
最後にアサーションスキルについて
お伝えします。
相手との違いを認める
私たちが人とアサーティブに接するためには
大事な前提があります。
それはどんなに親しい関係の人でも
お互いの考え方には同じ部分もあれば
違う部分もあるということです。
当たり前すぎる前提なのですが、
このことをいつの間にか忘れてしまうのが
人間です。
この当たり前すぎる前提を持つことで
お互いの違いを認め合うことができます。
どうしても私たちは自分と違うものに対して
からだが警戒信号を発します。
すると自分との違いを認められず、
相手の違う部分を
自分と同じようにするように強要したり、
自分が相手に合わせたりしてしまいます。
そもそも相手とは生まれ育った環境が違うので
考え方が違うのは当たり前という前提が必要です。
自分の意見を提案する
お互いが違うという前提に立てば
まずは相手がどのような前提や要望を
持っているのかを聞く必要が出てきます。
なぜなら相手の前提や要望には
必ず自分と違う点があるからです。
アサーティブでない接し方になる多くの原因は
この前提や要望がお互いにずれているにもかかわらず
そのことに互いが気づいていないことです。
まずはお互いの前提や要望を
すり合わせることが大事です。
そのすり合わせをする時の話し方が
アサーションスキルになります。
お互いの意見をすり合わせるのですから、
自分の意見をしっかりと伝える必要があります。
ただ闇雲に自分の考えを伝えればいいと
いうわけではありません。
相手の考え方を尊重するための話し方が
あります。
アサーティブなコミュニケーション(DESC法)
相手を尊重したアサーティブなコミュニケーションには
話すステップがあります。
このステップは英語表記の頭文字をつなげた
DESC法と呼びます。
D = describe : 描写する
客観的、具体的で誰でも同じように
認識するであろう事実を伝えます。
ここでは自分の意見や相手の考えているで
あろうことは含みません。
E = express , explain , empathize : 表現する、説明する、共感する
最初に伝えた状況に対する
自分の考えを表現したり、説明したり、
相手の気持ちに共感したりしたことを
伝えます。
S = specify : 特定の提案をする
相手に望むことや解決策の提案を伝えます。
できるだけ抽象的な表現は避け
具体的で現実的な行動を提案します。
C = choose : 選択する
提案を受け入れてくれた場合の状況と
提案を受け入れてくれなかった場合の
代替案の2つを提案する
この際、提案はあくまでも自分の意見であって、
相手には提案を受け入れる権利も
別の提案をする権利もあります。
自分の提案が受け入れられなくても、
相手から代替案をもらい、
今度は自分がその提案に対して
選択すれば良いのです。
具体的な例
主婦のAさんは仕事を終え帰宅してから、
明日の朝食用のパンを買い忘れたことに
気がつきました。
今日は仕事が忙しかったので、
これから買い物に行く気力がありません。
そこで旦那さんに買ってきてもらいたいと考え、
旦那さんにメールを入れることにしました。
明日の朝食用のパンを
買い忘れました。(D)
私は今日は疲れていて、
これから買い物に出たくないので、
帰り途中で朝食用のパンを
買ってきてくれませんか。(E)
あなたも仕事で疲れているでしょうが、
朝食にパンを食べたいですよね。(E)
私は駅むこうのおいしいパン屋さんの
パンを食べたいです。(S)
駅むこうのパン屋まで
買いに行ってもらえませんか。(C)
疲れているようでしたら、
駅出てすぐのお店のパンでもいいので
買ってきてくれると助かります。(C)
実際にはこんなに長いメールは
送らないですよね。
もしかしたら、メールの内容は
「駅むこうのパンを買って来て」
だけかもしれませんね。
ちょっと旦那さんに
配慮したメールにしてみませんか。
「お仕事お疲れ様です。
明日の朝食用のパンを
買って来てくれませんか。
駅むこうのパン屋に行ってもらえたら
うれしいですが、
疲れているでしょうから
駅出てすぐのパン屋でもいいです。
お願いします。」
旦那さんへのお疲れ様の気持ちを
メッセージで伝えたいですね。
アサーティブなコミュニケーションは
相手と自分を大切に扱う
コミュニケーション方法です。
相手と違うことは当たり前と考え
自分と相手は何が違うのか、
そしてその違いはどんな前提があるのかを
聞いたり、考えたりしてみましょう。
自分も相手も大切にするコミュニケーションを
心がけて下さい。
参考図書
アサーション・トレーニングさわやかな〈自己表現〉のために
平木典子